koko1947の日記

日々老化を感じるようになり、健康をテーマに綴ってみたいと思います

捲土重来

近赤外光線免疫療法(光免疫療法)

第五のガン治療法

 ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑京都大学名誉教授の研究が、開発に貢献した免疫チェックポイント阻害薬のオプチーボは、すでに実用化されて話題になっています。 直接ガン細胞をたたく従来の抗癌剤とは全く違う方向からのアプローチで生まれたこのガン治療薬は、活動を抑え込まれている自己免疫細胞を開放に導く免疫チェックポイント阻害薬です。

 従来のガン治療は、手術、放射線、抗ガン剤による治療の3本柱であると言われています。 しかし近年開発された、オプチーボに代表される免疫チェックポイント阻害薬は、従来とは違う第四の治療法と言われています。 そして、さらに第五の治療法と言われるのが、ここで紹介する近赤外光線免疫療法(光免疫療法)です。

 

近赤外光線免疫療法(光免疫療法)は、従来の治療法とは何が違うのか?

この治療法を開発したのは、アメリカ合衆国で活動する日本人医師で、11年間の臨床経験があり、放射線診断、核医学、消化器内視鏡の専門医でもある小林久隆医師です。 近赤外光線免疫治療法【 光免疫療法、NIR-PITまたは略してPIT(ピット)】の研究開発により、3度のNIH Tech Transfer Awardを受賞し、アメリカ国立がん研究所(NCI)では今世紀初の日本人テニュア主任研究員となる。 第38回日本核医学賞受賞とウィキペディアに記されています。

 

小林久隆医師によると、従来の治療法との一番大きな違いは、簡単に説明すると、ガン細胞を選んで壊し、それだけを体の中から取り除く治療で、使うものは体に無害な物だけ、と言う事だそうです。

 大まかな治療の流れは、まずガン細胞と結びつく抗体に、光(近赤外光線)と反応して細胞膜を破壊する化学物質をくっ付けて患者に打ちます。

1,2日で、光と反応する化学物質をくっ付けた抗体は血液中を流れてがん細胞にたどり着き、がん細胞だけに結びつきます、正常な細胞には結び付きません。

そこで光(近赤外光線)を照射すると、その化学物質と光が物理反応を起こし、ものの1分程でがん細胞だけが膨れて破裂する。そして、周囲の健康な細胞にはダメージを与えない。とゆうものだそうです。

 

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          図1

 

一回の光免疫療法の治療で、その後発症する転移ガンの再発を防ぐ!

光免疫療法には、がん細胞を直接攻撃する方法の他に、がん細胞を守る制御性T細胞をたたく方法(注2)があり、「これを同時に併用する方法が効果的」。

2つの方法は別個の治療法としても成り立ちますが、最終的には表裏一体で同時に行なうことを目標。がん細胞を直接攻撃する方法は、奏効率は高いのですが、完全奏効率は3~4割程度にとどまります。一方、制御性T細胞をたたく方法は、転移がんに対してもかなりの効果を発揮しますが、なかなか完治させることができません。

マウス実験でこの2つを同時併用する方法を確立。1カ所のがんを1回治療するだけで全身の転移がんも治療し、しかも治療したがん細胞に対するワクチン効果で2度と再発させない方法に。

 

下の図2で説明しましょう。まずがん細胞に直接光を当てる方法でがん細胞を壊すと、いろいろながんの抗原が一斉に露出します。すぐ近くにいる樹状細胞(免疫細胞の1種)がこの抗原を食べて成熟し、抗原情報をリンパ球(T細胞)に伝えます。このリンパ球は活性化して分裂し、その抗原を持つ、他の場所にあるがん(転移がん)を攻撃しに行きます。
この一連の仕組みの中で、制御性T細胞は免疫細胞ががんを攻撃するのを邪魔するだけでなく、樹状細胞の活性化も妨げています。ですから制御性T細胞をたたけば、一連の仕組みがスムーズに機能するようになります。2つの方法を同時併用するのはそのためです。

(注2):制御性T細胞をたたく方法:がん細胞の近くにいて、がん細胞への攻撃を邪魔している制御性T細胞をたたく。近赤外線で発熱する物質(IR700)を付けた抗体を体内に入れて制御性T細胞に結合させ、近赤外光線を当てて死滅させる。すると、がん細胞の近くにいる免疫細胞は「OFF」から「ON」に切り替わり、がん細胞を攻撃。さらに血流に乗って全身を巡り、転移がんを攻撃する。

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     図2:がん光免疫療法が、がんを治療して再発や転移をなくすステップ 

 

 下の動画は、2017年4月に開催された*新経済サミット(NEST)において、スペシャルセッションとして登壇した際、自身の開発した近赤外光線免疫療法(PIT)についてスピーチした様子です。

*【新経済サミットとは、楽天の三木谷浩二社長が代表理事を務める一般社団法人新経済連盟(主に楽天サイバーエージェントなどインターネットを利用したコンテンツ産業を行う企業群が参加する経済団体)が主催するグローバルカンファレンスです。】

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2017年4月に開催された*新経済サミット(NEST)において、スペシャルセッションとして登壇した際、自身の開発した近赤外光線免疫療法(PIT)についてスピーチした様子

  

下は、第3回がん撲滅サミットにて小林久隆先生が行った講演の動画です。  

撲滅サミット⇒https://cancer-zero.com/ 

youtu.be

2017年11月12日(日)の第3回がん撲滅サミットにおける、小林久隆先生の講演の様子

 

今回の記事は、mugenndaiのインタビュー記事、‘‘【続報】「がん光免疫療法」の開発者・小林久隆先生に聞く‘‘のインタビュー記事より抜粋、引用

https://www.mugendai-web.jp/archives/8462
がん新療法の薬承認 楽天系が世界初「光免疫療法」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

楽天メディカルについて - 楽天メディカル - がん克服。生きる。 (rakuten-med.com

 

島津製作所と楽天系、がん光免疫療法向け機器を共同開発: 日本経済新聞 (nikkei.com)